イラスト『七夕結輪』作者 鈴木信仁
職種 AUWAセラピスト

原風景の少女。

僕には、心の原風景ともいえる景色がある。
見上げると、どこまでも遠く
澄み切った青空は、
水平の彼方で温かい穏やかな海と交わる。

そのまま、
足元へとゆっくり視線を近づけると、
はっきりとした輪郭の、黄緑色に輝く
弧が眩しく萌えている。

見渡す限り草原しかないこの島は、
やはり見渡す限り空と海しかない世界に、
ぽつんと浮かんでいる。

ある日、あまりの風の気持ち良さに
うたた寝をしていると、
とても愛くるしい微笑に出逢った。

若草と、仄かに百合のような香りを纏った少女は、
長い髪を靡かせながら、
じっと微笑んでこちらを覗き込んでいる。

ターコイズのグラデーションが、
あまりに美しいふたつの瞳に、
心の奥底を根こそぎ鷲掴みにされてしまった。

その衝撃の刹那、
分散していた力が一筋に凝縮し、
真っすぐに放たれるレーザー光線のような思いと、
どこまでも突き進むその光が、
時空間の海を延々と震わせ、
滑らかな波紋を広げていく感覚が
対峙していた。

とても、
とてもゆっくりと感じる瞬きをして、
不意にキスをしてくると、
少女はくるりと踵を返して、
光の軌跡を追う様に消えていった。

ひらひらと舞うレース越しの後ろ姿は、
成熟した艶やかなカーブを描いていた。

「待って」…
そう言う間も無い代わりに、
どうにも消えそうにない情熱に、炎が灯された。

それは、忘れかけていた衝動にも拘らず、
いま僕がここにいる、
最初で最後の理由だった。

放たれたプラチナ色の光の軌跡は、
暗黒の舞台を龍の如く駆け巡り、
幾重にも世界を彩ってきた。

自分自身が、真に満足するものを
追い求めていた。

自分自身が、観たことの無い
美しい景色を創りたかった。

出来上がった、新しい世界をすべて、
君にプレゼントするんだ。

それが再会の約束。
永い永い孤独な旅…

その終わりが加速度的に近づいているのを、
この歌は調べている。

アナタと再び めぐり逢う時に
あの星を超えて 銀河をわたり…


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